見つかったよと連絡がこないかと携帯を気にする
その大切なものは小さくて、落としてしまったら見つけるのが大変だ。
どこで落としたのかもわからなければ、絶望的と言ってもいい。
生涯のうちで、物質的には代わりはきくけれど、本当に代わりになるものは
ない、そういう代物だ。
その人は、それが行方不明になった。
対する自分は、マンションの給湯機が壊れてお風呂に入れなくなった。
精神的に落ち込むが、実家に帰るとか銭湯に行くとか、どうにでもなる。
それでも、その人は帰り際、早く治るといいねと笑って声をかける。
対して、そっちも見つかるといいですねと言えばよかったと帰り道で思いつく自分だ。