こくものすなわちみのる
お盆を過ぎた先日、実家に帰省した。
帰省と言っても、都内から電車で二時間もかからないのだけれど。
実家の目の前は、右を見ても左を見ても田んぼが広がっている。自慢じゃないが、長閑である。
私は幼い頃から、毎日、田んぼを見ながら育った。
幼い頃は、蛍もいた。
市内の花火大会は、田んぼの畦道が特等席だった。
夏の夜は、開けた窓から聞こえる蛙の鳴き声がうるさいほどで、父のいびきなど可愛いもの。本当に蛙の大合唱だった。
家を出て一人暮らしを始めてから、夏に実家に帰って蛙の鳴き声を聞きながら眠りにつくときが、「帰ってきたな」と一番思う。
禾乃登(こくものすなわちみのる)◆七十二候
稲が実る