Top

だってその鞄は作ってもらったものだから

その鞄は長らくクローゼットのその位置にあって、今はぽっかりとその空間は空いている。
ずいぶんと前に買ったそれには思い出があり。



思い出とは思っているつもりはなかったが、そんなことを考えてしまう時点でそれは思い出があると言っていいのだろう。



でも、不思議だ。
どんなささいなものでも、どこでいつどうして買ったのか大抵覚えている。
一言で済んでしまうものも、もういくつか話せるも。



でも共通して言えることは、全てのものはそうやって家にやってきていることだ。