コラム 玄関はいつも鍵がかかっていない からからと音を立てて戸を開きながら、ごめんください、と言いたい。広い上がり框に座って、少しだけおしゃべりをする。お茶を出すのも出されるのも気が引くから、本当に少しだけ。最近めっきり寒くなりましたね、って。祖父母の家は立派な上がり框だった。そこに座って、祖母はよくお客さんとおしゃべりをしていた。そして、この時期なら蜜柑を何個か手渡していただろう。こんな風景を自分に残してくれたことが、今ではありがたいことだと思っている。 2019年12月1日 1 0 日々のこと