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もっと会いに行っておけば良かったと誰しも思うのだろう

ふと、もう祖父母の家はないのか、と思う瞬間がある。



家自体は残っているけれど、そこには叔母夫婦が住んでいて、あの頃とはもうなにもかも違うのだろう。
もうずいぶんと行っていないし、行くこともそうそうないと思うけれど、自分はあの家が好きだった。



大人になった今は、違ったふうに楽しめると思う。
広い縁側があるから、そこでぼんやりと本を読んで、時々顔を上げて目の前の名だたる山を見る。



祖父は教師をしていたせいか、古い本がたくさんある。
子供の頃にはちっとも魅力的に見えなかった本の背表紙も、今では違うふうに見えるだろう。



時間があればそこらを散歩する。
子供の頃はなんにもないと暇をもてあそんでいたが、今では何時間でも辺りを散歩できると思う。



まだろくに料理をしたことがなかった時、母の入院中に祖母が家事を手伝いにきてくれたことがあった。お米をとぐときにうまく水が切れずに流しに零したお米を、一粒残らず拾う祖母が忘れられない。
農家をしてきた人達だから、お米は一粒も粗末にしてはいけないと教わった。



古い家を訪れると、そんなことを思いだしたりする。