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あの日、彼らはどこにいたのだろう、その飛べる体で

ここにもかつて津波が押し寄せたのだ。



そんな思いで、湾の前に立った。
近くまで来たのだからと足を伸ばしたが、本当は、胸の底では思っていた。
たどり着くと、のんびりとした空気が流れ、カモメがさかんに飛んでいく。



国宝のお寺は津波被害からまぬがれたが、参道の杉並木の三分の一が塩害で枯れたとあとから知った。
何気なく見ていた杉並木は、本当はもっとたくさんあったのだろう。