夜になると、驚くほど声がとおる。
家の横で声をあげる人は、まさかそのマンションのてっぺんで一言一句漏らさずに聞こえるなんて思いもしないんだろう。
すぐ近くに大学がある。
そのせいか、遅い時間ともなればお酒が入った彼らの声が響き渡る。
当事者の彼らは楽しいんだろうが、端から聞いていれば思わず窓を閉めざるを得ないものばかりだ。
歌を歌いながら自転車をこいでいる人は、どんな気持ちなんだろう。
最初は鼻歌程度だったものが、どんどん熱を帯びていったに違いない。
空はなんでもすいこんでいく。
その途中のものを自分はこぼれ聞いている。