彼と彼女の気持ちのやりとりも嘘だったのかな
ファンタジーあり、ミステリーあり、歴史ものでもあり、少女の成長物語でもあり。
いわゆるYA書だ。けれど、もちろん大人でも十分楽しい。
女性が生きづらかった時代の話だ。
女は利口でなくていいとされていた時代。
けれど、少女は聡明だった。彼女は学問が好きで、本当は男の人達と対等に話をしたいと思っていた。
けれどそれは許されず、聡明であるがために、おとなしいと思われている自分のキャラを逆に利用して、父の死の真相をあばくために暗躍する。そう、したたかだ。
YAっぽさがよくでている部分もある。
主人公の少女と同年代の少年が出てくるのだが、彼との関係性がいい。
お互いに敵同士だ、仲良くしてはいけないと、憎しみのこもった言葉を投げかけあっているのに、彼は彼女の願いを聞き、彼女も彼を傷つけることができない。それがなぜなのか、二人は気付いていない。
でもやはり印象的だったのは、女性の生きづらさだった。
逃げる場面が何度か出てくるが、コルセットと何重にも重なった丈の長いドレスだから無理だ、と冷静に分析する彼女がいた。
それに比べ少年が軽々と柵を飛び越えていく姿を見て、どんな気持ちがするのだろうと呟く部分が切ない。
それでも、最後に彼女は、その生きづらさをかかえているのは自分だけではないと気づく。
どの女性たちも、彼女たちなりに戦いながら生きていた。
そんな女性達の未来に、今の自分がいる。
未来を切り開いてきた女性達の話だ。
そうであってほしい。