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ずっとあなたのことを考えていたせいで電車を降り忘れました、ということにしたい

たった一駅なのに、リカバリが大変で困る。



いったい、なんなんだろう。
別に寝ていたわけでも、本に夢中になっていわけでもない。
ただ、ぼうっと車窓を見ていた。



そして、その車窓を見慣れた看板が遠ざかって行く。
その看板は、毎日降りている駅にある看板だ。
だから、ぼうっと眺めている視界の端っこにひっかかった。



慌てて社内のモニターに目をやれば、案の定、降りるべき駅だ。
その時にはドアは閉まり、私は大きめなリカバリ労力を思って、げんなりとする。



降り忘れたのなら、一駅先で降りて戻ればいい。
都内だ。一駅があんまりに長いということはない。



ところが、その一駅先は日本で有数のターミナル駅であり、帰宅時間帯のため、下り方面になるそっちは、上り方面のおかげでとても快適な今の電車内とは雲泥の差だ。
そして、おそらく一回では乗れない。乗りきれず、次の電車になるだろう。
しかも、向かい側のホームではなく、階段を上り下りするタイプになる。



というわけで、この、帰りの駅を降り忘れる、という事象をひどく恐れているはずなのに、年に数回はやらかす。



不思議だ。起きていたし、ずっと車窓から夜の街を見送っていたのに。