
子どもの頃の自分はその言葉には気づかないだろう
なんでも簡単に手に入る時代だ。
なんでも簡単に捨てられる時代だ。
だから、なんでも手に入れようとしがちだ。
写真を撮ることに夢中だ。
レンズ越しに残すことを至上の目的にしているみたいで、去り際はあっけない。
あんなに殺気立って場所とりをしていたのに。
そんな時に、旅人の言葉が響く。
「なんでも自分のものにして、持って帰ろうとするとむずかしくなっちゃうんだよ」
ムーミンは、実は子供のころのテレビシリーズでしか見たことがなかった。
大人になって改めて読んでみると、思わず線を引いてしまうフレーズが多い。
頭の中にしまっておくだけだと忘れてしまうから、ノートにこっそり書き留めておこう。
トーベ・ヤンソン 下村隆一訳「ムーミン谷の彗星」ムーミン全集[新版]1
(講談社、2019)