鍵穴って実はそこら中にいっぱいあるんだ
今日はなんだか、とんとん、と胸をたたかれたような日だ。
あの子のお腹には別の子がいて、あの小さな子は今度お姉さんになると知る。
思えば、最初に知り合った頃は、あの子はまだ一人で住んでいたし、あの小さな子はまだベビーカーに乗っていた。
今日、その小さな子が舌足らずにせがむのに応えて、背の高い人がさらさらと子供に人気のヒーローを描いて見せる。
北の地に咲く桜がこっちと違うと知ったり、三人一緒に餃子を買いに行ったらお店の人がその三人セットを覚えていたり。
小さな子がお家の鍵をもって、およそ鍵穴ではないそこらにある穴の中に鍵を回し入れている姿を見て、ああ、なんだか動き出したなぁと思う。
とんとん。さぁ始めよう、とノックと一緒ぐらいに扉を開けられたような。
戸越八幡神社一箱古本市 第四回 に向けて動いた日