知らず知らず、背中を見て育っているもの
家族は、よし初詣行くぞ!というような人達ではなかったので、行く習慣はないと言っていい。
けれど、なんとなく気持ち悪い、というか行っておかないと大変な目にあうのではないかしらと、こんな時ばかり信心深いフリをして、一人でふらっと近くの小さな神社に行ったりしていた。
何も一人で来なくても思いながら、家族のことと自分のことを少しだけお願いして、おみくじも引かずに帰る。
そんな家だったが、父は、行けば破魔矢を買ってくる人で、居間に飾られている光景を覚えているせいか、東京で一人暮らしを始めて縁ができた神社に初詣に来れば、破魔矢だけは買うようになった。
今年も去年の戌の破魔矢を持って神社に出向き、かわりに亥の破魔矢を持ち帰った。
今年一年よろしくお願いしますと手を合わせて、部屋に飾った。
飾りかたは、実家に習え、だ。他に知らないから。