この公園でよく帰りましょうのチャイムを聞いた
実家に帰ると、よく近所を散歩する。
いったいどこまで散歩してたの?と家人に聞かれるほど、いろいろ歩いて回る。
小学校の通学路をたどり、ついでだからと中学校の通学路もたどり、道すがら同級生の家の前を通れば、さて今頃どうしているかと思ったりする。
おそらく今の自分のように一人で散歩なんてしないだろうなと、少し肩を落とす。
実家のある場所は、ますます静かになった気がする。
人がいない。不安になるくらいだ。
けれど、都会の人込みに、いくらか疲れた自分にはちょうどいい。
公園のため池に驚くほどの数の鴨がいても、それを見ているのは自分一人だ。
それをぼんやりと見つめながら、そろそろ帰らないと心配するかなと思い始める。
そんなふうに家人のことを頭に帰りのことを考える自分を、ずいぶん久しく感じる。