頑張れと言い聞かせるのが、頑張ったねと振り返るようになった
毎年、同じ時期に、同じ内容の仕事、いわゆる定例作業というものがある。
ちょうど一年前、その定例作業はひどく大変だった。
仕事内容自体は、終わってみればさして難しくないのだが、いかんせん、その時は作業内容が定まっていなかった。
作業手順書はあるにはあるが、読んでも読んでも頭に入ってこないような内容で、前年の担当者に聞くことはできるにはできるのだが、要領を得ない。
質問しても、質問した内容とは違う答えが返ってくるタイプで、疲れて諦めてしまった。
もっと上の人間を捕まえて、なんとか作業内容はわかったものの、今度は他部署との連携がうまくいかない。
あっちもこっちも、本来はそちらが全うしなければいけない領分を、「そっちでやってよ(は?なに言ってんの?)」くらいのトーンで返してくる。
あまりの態度に諦めてしまった。
そうして、私は一人で勝手にやることにしたのだ。
信じられるものが、どんどん減っていった。
それから一年経ち、また同じ作業をする時期になった。
今はもう、少しでも頭を抱えているような素振りを見せれば、すぐに察してしまうような人がすぐ上にいて、あっという間に他部署を撒きこんで進めてくれる。
笑顔で「そっちこそなに言ってんの?」と整然と戦ってきてくれる。
一人で諦めてしまったものが、どんどん拾われていく。
そうして、信じられるものを少しづつ拾えるようになった。
一年前の自分の背中に、話しかけてあげたくなる。