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時には恥ずかし気もなく愛を - 毎日をむすぶ/\お米や
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時には恥ずかし気もなく愛を

なんて、衒いもなくまっすぐな作品だろうか。恥ずかしいくらいだ。
というのが印象だった。

 

 

あらすじを言ってしまえば、古書店を営んでいた祖父を亡くして引きこもる男子高校生の前に、しゃべるトラネコが現れ、本を守るために力を貸してほしいと言われる。
児童書を読んでいるような感覚といえばいいのだろうか。なんとなく安心して読んでいられる展開だ。

 

 

けれど、この本のすごさは別のところにある。

 

なにより、真正面から、
「本を読むとはどういうことか」
「本を愛するとはどういうことか」
「本をめぐる環境が、今どうなっているか知っているか」
とつきつけてくる。

 

 

いやいや読まされる場合もあるだろうが、この本を読んでいる時点で、その人は大概は本好きに違いない。
その読者に、ただただ問うてくる。少し、怖いくらいだった。思わず、わが身を振り返りながら、読み進めていた。
そのくせ、作者の本に対する愛情もひしひしと伝わってきて、こんなに恥ずかしげなくまっすぐに言葉にしていることに僅かばかり動揺した。

 

 

また、作品には海外の名作と呼ばれるものの類の本が、たくさん登場する。
その中から、これは読んでみたいと思わせる作品が登場するのも楽しい。

 

 

 

夏川草介 「本を守ろうとする猫の話」
(2017、小学館)