探し出して喜ぶ顔が見たかったんだ
土俵の前で仲良くなったお爺さんが、お亡くなりになってしまったと聞いた。
久しぶりに連絡したら入院されていて、それを知ってからは毎週お見舞いに行っていたのに、残念ながら、それもほんの僅かな時間となってしまった。
お爺さんを喜ばせようと始まった古本探しも間に合わなかった。
それでも、連絡したのが間に合ってよかったと思う。
言ってしまえば、頻繁に会うような間柄ではない他人だったのに、その人がお爺さんと最後に向き合う姿は真摯だった。
本が見つかったら墓前に持って行くことにするよと笑った。
本探しが終わらないことが、また優しかった。