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第三回戸越八幡神社一箱古本市のこと③

一箱ずつ、店主さんに挨拶をしながら写真に撮っていく。
その中に自分の好きな本を見つけて、つい指をさして私もこの本好きです、と笑ってしまう。
そうすると、店主さんも笑ってくれる。いいですよね、と声に熱がこもる。

 

 

もちろん、前々から情報をキャッチして遊びに来てくれる一箱ファンのお客さんは嬉しい。
けれど、たまたま近所を散歩していたら古本市をやっていて、のぞいてみたら本で鞄が重い!と嬉しい悲鳴を聞かせてくれたご近所さんは、もっと嬉しい。
その女性のリュックは、本の硬い背表紙で角張り、二つ持ったビニール袋には本が何冊も入っている。
こんなに嬉しいことがあるだろうか。

 

もちろん、お客さんで賑わっている景色を後ろから眺めているのは嬉しい。
けれど、お客さんが途切れ、風の音を聞きながらのんびりと気持ちのいい眠気を感じるのも嬉しい。
足りないものなどないと思う。

 

 

そして、あっという間に閉幕の時間となる。
ゆるゆると片付け始め、店主さんたちとそのまま境内で懇親会を始める。
びっくりするほどたくさんの人が残ってくれる。
初めて会った方同士ばかりなのに、本を介して楽しそうだ。

 

 

どんどんと日が落ちて、照明のあかりの中で、ちょうどいい暗闇の中で、また来年、と嬉しい言葉をかけてくれる。
その言葉を胸に、神社にスタッフ揃って、並んでお参りをする。
締めの挨拶。この瞬間が好きだ。

 

 

 

第三回戸越八幡神社一箱古本市 お昼と夕方と夜