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ありがとうを花に変えて届けたい

幸せな時間と場所だったな、と思う。

 

 

ずっと前から、それこそ指折り数えて楽しみにしていたコンサートだった。
ある作品の音楽のフルオーケストラのコンサート。
ここ最近は、このためだけに頑張っていたと言っていい。

 

たぶん、私と似たような人たちが集まっている。
物販列には、とても捌ききれない数の人で長蛇の列、書き込まれたアンケートハガキを山のように持つスタッフの姿。
どれだけの人がこの日を楽しみにしていたか、どれだけこの作品が好きかが伝わってくる。

 

まず一曲目、このコンサートのために編曲されたであろう、ファンにとっては胸がいっぱいになるような曲で始まった。
すると、あちらこちらから鼻をすする音が聞こえる。
私も涙ぐんでいた。

 

会場中が、同じ気持ちだったに違いない。

 

世に出たのはもう20年も前の作品であり、最近ではちっとも音沙汰がない。
それでも、こんなに同じ想いの人が集まって泣いている。

 

もちろん演奏は素晴らしかった。
なにより、嬉しくて仕方がないのだ。

愛に溢れている。

 

拍手がいつまでも鳴り止まず、最後は多くの人が立ち上がっていた。

 

この光景は忘れられないな、と思った。