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色とりどりの鶴が飛んでいく

七年前の夏、私は広島に一人旅に出かけた。
七年前、東日本大震災の年だ。

 

 

その時の私は、呉と宮島に時間を割いていて、広島市内をまわる時間はほとんどなかった。
その中で、やはり足を向けたのは、原爆ドームだった。

 

それは、思っていたよりも小さく、けれど目が離せず。
原爆の子の像の下に立っては、鳩がたくさん飛び交っていたのが胸に迫った。

 

噴水の方に歩いて行く。
途中、弥山の霊火堂からもらってきた平和の灯火を見た辺りから、なんだかひんやりしたものを感じた。
悪寒とも違うし、鳥肌が立つわけではない。なのに、なんだかひんやりする。
確かに池の脇を歩いて来ているが、こんな風に感じたのは初めてだった。

 

ピークに達したのは慰霊碑の前だった。
犠牲者の霊を雨露から守るため埴輪の家形にデザインされたという、手を合わせた形にも似たモニュメントを覗くと、平和の灯と原爆ドームが見えた。
たまらず、手を合わせていろいろしゃべっていた。

 

眠っているところお邪魔しますとか、大震災で今日本は大変だけどとか。
よく分からないが、胸がぐちゃぐちゃになって少し涙ぐんでさえいた。
自分でもびっくりした。

 

それを今でも覚えている。

 

 

原爆の子の像の側にある千羽鶴を再利用して作られたノートが売店で売られていた。
1頁1頁に、祈りが込めれた折鶴が眠っている。

 

 

 

原爆の日
1945年8月6日 広島