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本を買った場所も大切な思い出

大阪に、ずっと行きたい本屋さんがあった。
お店は、思ったより分かりにくくて、思ったより小さかった。

 

けれど、棚はもちろんおもしろく、レジの向こうの店長は元気いっぱいだった。
近くの古本屋さんを聞いてみると、続々と出てくる。
どこもどんなに楽しいか、ぜひ楽しんできて欲しい、というのが表情からも口調からも伝わってくる。

 

そんな店長さんに、フリーマガジンを頂いた。
これがフリーなのか、と驚くほどの出来栄えである。
地域の魅力を発信する、佐賀と長崎が協力して創刊した雑誌。

 

帰りの新幹線で読み終えた。
読みながら、なぜか、何度も涙が零れた。
そこには、飾らない人達が生きている。

 

在来種の野菜を育てているおじさんの手は、なんて働き者の手であることか。
行き場のない馬が住むための谷を作った男の人にブラッシングされている馬の、気持ちのよさそうな顔といったら。
みかんを愛してやまないおじさんが絞る、みかんの香りがしてきそうなほその写真。

 

まだ九州に行ったことのない私の背を力強く押す。

 

 

SとN 2号
(2018年3月1日発行、佐賀・長崎観光振興推進協議会)