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何回目から、その放物線は美しくなったのだろう

最近読んだ本に、「私たちが都会のごみ収集人を気にもとめないように」という一文があった。
けれど、私は今日、感動してしまったのだ。

 

お昼休みに外に出ると、職場に設置された自動販売機の飲料メーカーの回収車が停まっていた。
霧雨が降る中、つなぎを着た回収作業をしている方が、回収車の荷台に向かって、手に持った空のペットボトルの詰まったゴミ袋を放り投げた。

 

真下から投げていなかった。
え?そこから?と思うような距離から、絶妙な力加減で、絶妙な放物線を描いて、そのごみ袋は荷台の凹みにどんどん吸い込まれていった。

 

どんな些細な作業だとしても、極めた先の洗練された動きに、私は感動すら覚えながら、さて自分は?と問わずにはいられなかった。