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最も身近なカミサマ

電子版の本は味気ない。
と言って、もういっぱいいっぱいですと悲鳴をあげる本棚の声が聞こえないふりで本を買っていく本好きさんは、たぶん「紙」ものも好きに違いない。

 

本のよさはその装丁も込みだから。
遊び紙が凝っていたりすると、それだけで嬉しくなってしまう。
遊び紙なんて知っているところからして、紙好きだ。

 

だからかわからないが、紙ものをなかなか捨てられない。
使うあてもないのに便箋や千代紙を買ってしまう。
ポストカードがたくさん束になっているのを見つけると、一枚一枚めくってしまう。
送られてきた封筒の切手だけ、ついつい集めてしまう。
ちょっとしたお店の紙袋ですら、可愛くてなかなか捨てられない。

 

また、思い出の品は紙ものが多い。
中高生時代の、友達とやりとりした手紙が捨てられない。
初めて作り上げた折り紙の花玉はいまだにとってある。
ずっとつけていた日記もだ。

 

 

少し書きあげただけでも、毎日の生活に紙はあふれている。
まさに、紙さまさまだ。

 

 

大平一枝 著/小林キユウ 写真 「かみさま」
(ポプラ社、2006)