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花が匂うのはなぜか知ってるかな?

例えば、そこに咲いている花の名前の由来にさえ、気にしたことはあっただろうか。

 

花の名前を覚えていくのは楽しい。
けれどその由来にまで、ましてやその漢字にまで、可否を気にしたことはあっただろうか。

 

自分は植物の愛人だと笑って豪語する彼は、もちろんそこまで気をもむ。
愛人の名前は気になって当然だ。うんうん。
その中で面白いのはアジサイについての講釈だった。

 

そして、サクラだ。
なぜ日本人にこんなにこそ花は愛されているのか。
その儚く散っていくさまが日本人好みというのもあろうが、その満開の姿もすこぶる美しい。
けれど、その美しく見えるのはなぜか考えたことがあるだろうか。

 

それが花の咲き方を論理づけて説明されて、思わず膝をうってしまった。
なんにもで理由はあるものだ。理由がつかないものなんて、人の心ぐらいだ。

 

 

花の見方も詳しく書かれていて興味深い。
外に出ていって、本を片手に花を観察したくなる。

 

また、学生相手の講演を書き下ろしたものが多く、人柄がにじみ出ている。
はっきりと自分の意見を持ち、ユーモアもあり、なにより植物が好きで好きでたまらない。

 

好きで好きでたまらないものがこの世にある。
これ以上の幸せがあるだろうか。

 

 

牧野富太郎 「花物語 続植物記」
(筑摩書房、2010)