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家を建てるなら、こんな大工さんがいい

ノルウェーで働く大工が、屋根裏の改築作業を綴った、実際の日記だ。

 

割と細部まで専門用語で書かれていて、門外漢の人間には分からない部分も多い。
ただ、ユーモアもあり休日に釣りを楽しんでいる話もあり、その専門性も楽しんで、すいすいと読めてしまう。

 

依頼人の家の幼い男の兄弟は改築工事に興味深々で、彼との交流もほほえましい。
ここの壁はあとかた塗るから、落書きしてもいいよ、といった具合に。

 

 

「もし生まれかわっても、何度でも職人として生まれかわりたい」を言うところもあり、なんて素敵な生き方をしているんだと思った。
仕事は生活の多くの時間を占め、それは人生の多くの時間を占めていると言っていい。
その仕事に対してそんなことを言えるのは、愛する仕事につき、愛する仕事につけるように努力したからだ。

 

そして、最もいいと思ったのは、彼が自分の仕事に誇りを持っているのが伝わってくるところだ。
印象的だったのは、「あそこを直す作業は好きだから、やるのが楽しみだな」といった台詞が度々出てくるところだ。
仕事に対してこんな感情を持ったことが私はないので、うらやましい。

 

彼の仕事に対する考え方は、何も大工に限った話ではなく、全ての仕事をしている人に当てはまるものばかりだ。
共感する部分がたくさんあって、私は何度も仕事について考えた。

 

毎日毎日、仕事が辛いといって壊れていく人が後を絶たない時代だ。
それは大概、仕事内容ではなく人が問題だったりする、そんな時代だ。

 

 

仕事とは、人にとって、生きていくことと切り離せない。
その仕事に価値を見いだせたら、幸福なことはない。

 

 

 

 

オーレ・トシュテンセン/著 牧尾晴善/監訳 中村冬実/訳 リセ・スコウ/訳
「あるノルウェーの大工の日記」(2017、エクスナレッジ)