ころり。

 

と、お皿の中におさまっている。
その姿が、なんだか可愛く見えた。

 

好きな人に買ってもらったのだ、可愛いから見て。
と、会う人会う人に、彼女はお財布を見せて回っていた。
本当に嬉しそうで、そのお財布を大事に扱っているのもよく分かって、贈った相手は、さぞこの子が可愛いく見えるだろうな、と思った。

 

 

チョコミントのアイスを、美味しい美味しいと頬張る隣の彼女を、私は可愛いなと思いながら、自分は黙って同じものを食べていた。
何気ないものでも、隣で嬉しそうに食べている姿は可愛い。

 

もちろん美味しいと思っているのだが、私は口に出すことが稀だ。
贈り物に対しても、あんなに素直に喜びを発露させたことがあるだろうか。

 

 

ころりと転がるチョコミントを見ながら、黙ってスプーンを運んだ。
貰ってとても嬉しかったそれは、引き出しの中に閉じ込められている。

思っていることほど、大事なものほど、奥底にしまってしまう。