Top

お砂糖じゃなくて、ミルクをたっぷりがいいな

自慢じゃないけれど、友達は少ない。
今でも会う友達は、本当に少ない。恥ずかしいくらい少ない。

 

父も母も、友達と会っている姿を見たことがない。話も聞いたことがない。
そういう家系なんだろうか。

 

でも、会ったりはしないけれど、友人たちが毎日どんなふうに過ごしているかは、SNSで知っている。
相変わらずだなぁ、ちっとも高校生の時から変わってない。とか。
仕事が大変そうだなぁ。私も忙しいんだよね。とか。
なにはともあれ、元気そうだから、いいいかな、と思っている。

 

そういうもの、なのかもしれない。

 

私の中に用意してあるその椅子は、ずいぶん長らく不在だけれど、少なくとも私はその椅子を片付ける気はない。
すぐにだって、お湯を沸かしてお茶とお菓子を用意できる。
お茶とお菓子があれば、女はいつまでだったおしゃべりができる。

 

 

それにしても、なんて可愛いらしい絵本だろう。表紙だけで十分可愛いけれど、中はもっと可愛い。
細かいところまで絵に優しさがつまっていて、最後のページにまで嬉しい後日談が待っている。
そして、とてもあたたかくなってくる。
ミルクがたっぷり入ったお茶。私も経験がある。

 

あのお茶は、ほんとうに、優しい味がするのだ。

 

 

 

おーなり由子 「ミルクのお茶」
(新潮社、2001)