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かしましい鳥の子の鳴き声は人の子と同じ

母校を歩いていて、忘れらたようにある、鳥の巣箱を見つけた。
そう言えば、よく巣箱を作っていて、至る所に設置されていた時期があったような気がする。

 

小学生の頃は、よく燕の巣を見た。
それは縁起のよいことだと誰かに教えられたのか、今でも縁起物だということは忘れていない。

 

通学路の途中にある友達の玄関先にあったし、近所のお店の軒先にもあった。
田んぼが近かったせいなのだろうか。
彼らは、稲につく害虫を食べてくれるということで歓迎されたと後に知った。

 

我が家も田んぼの目の前だ。右を見ても左を見ても、田んぼがずっと先まで続いている。
夏の風物詩と言えば蛙の大合唱だし、田んぼの水路にザリガニ釣りに来るのが、私の母校の低学年の習わしだった。

 

だからある時、燕の巣がうちにもできた。春だ。玄関先だったと思う。
また、雨戸の中にできたこともあった。
けれどそこは、家族で寝室として使っていた部屋の窓の雨戸であり、朝になると近距離から聞こえる鳴き声に起こされたものだ。
母は、雨戸が使えず、しかもうるさくて困ったとしきりに言っていたが、不思議と、私は悪い感情をもった記憶がない。
子供だったから、なんでもおかしく感じていたのかもしれない。

 

そんなこと、全く忘れていた。
燕の巣なんて、もう何年も見ていない。

 

 

清明 玄鳥至る(せいめい つばめきたる)◆七十二候