こんなに疲れて帰ってくるのも頑張り屋だからと思えば
桜が散り始めた。
風にのって、桜の花びらが舞っていく。あっという間だ。
母は、満開の桜よりも散っていく桜の方が好きだと、毎年のように言う。
そんな母に先日言われたことがある。
母が、父が好きだろうと思って買ってきた佃煮を私がしきりに食べているのを見て、
「お父さんと味の好みが、本当にそっくりだよねぇ」と笑い、続けて、
「頑張り屋なところもそっくりだしねぇ」
びっくりして、束の間言葉につまった。
そんなことを言われたのは、初めてじゃないだろうか。
父は今年の始めに定年を迎えたが、会社に請われて週三でまだ働いているらしい。
そのくせ、二月は納期前のせいで夜遅くまでの残業と休日出勤をしていたらしく、長年働いて一人で家族を支えて、の流れでそう口にしたようだ。
母は最近とてくよくしゃべるようになった。
昔はそんなに話す人ではなかったのに。
母の両親を看取ってからだろうか。
そうか、私は頑張り屋なのか…頑張ってるのか。