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七年前の大震災に寄せて②

七年経った同じ日、私は三鷹を訪れた。

 

三鷹の森に向かう前に、本がたくさんあるカフェにご飯を食べに行った。
惹かれた本を手に取り、頁をめくって驚いた。
その頁は、大震災のことに触れていたのだ。縁だろうか。

 

駅前の公衆電話は、七年前より減った気もしたが、変わらずそこにあった。
あの日と同じように、風の散歩道と名付けられている道を歩いて、三鷹の森に向かう。

 

 

玉川上水には、微かに春がやってきていた。
印象的だったのは、駅から遠ざかるにつれ、大きな立派な木が多くなっていくことだ。
井の頭恩賜公園に着くと、テニスコートではシニアの方が、広場では親子連れが日曜日を楽しんでいた。

 

 

七年前の帰り道を思いだしながら、私は歩いた。
ちょうど、この辺りだったはずだという時に、三鷹市の防災無線が入った。
道で立ち止まり、黙祷をささげた。

 

もう少し歩いて回ると、見覚えのあるコンビニを見つけた。
あの時、買い出しをしたコンビニのような気がしてならなかった。
すると、ほどなく進んだ先にお世話になったコミュニティセンターを見つけた。

 

 

 

あの時のような混乱や不安感はなく、街にはゆったりとした時間が流れていた。
来てみてよかったと思いながら、私は家に帰ることにした。

 

けれど、いまだ、家に帰れない人たちがいるのだと思った。