
七年前の大震災に寄せて①
七年前の今日、私は有給休暇をとって、一人で三鷹に遊びに来ていた。
目的地は三鷹の森ジブリ美術館だった。
堪能し、さぁ帰ろうと駅に向かって歩いている時に、道路の向こう側のお店の、下りていたシャッターがものすごい音を立てた。
続いて、私はそのまま歩き続けることができずに、立ち止まった。
束の間、様子を伺い、すごい地震だったと思いながら再び歩きだした。
まだ、その時の私は事態を甘く見ていた。
駅に近づくと騒然としていた。
流れるアナウンスに、ようやく私は事態を飲みこみ始めた。
もう電車は動かないことが分かった。次にすべきは、家に連絡することだった。
携帯は繋がらない。駅前にある数少ない公衆電話は長蛇の列だった。
次の人が待っているから長話は出来ない。家に一人でいた母も無事だった。
手短に帰れない旨を伝え、心配する声になんとかするよと笑って切った。
けれど、初めてくる場所で土地勘もなく、途方に暮れていた。しばらくふらふらと彷徨った。
その間に、家先に出て街を見つめていたおじさんが、連絡できてないようならうちの電話を使っていいよと声をかけてくれた。
それで少しほっとした。
確かその後、駅にまた戻り小学校に避難できると情報を得て、向かったのだ。
体育館には同じような人が何人かいた。壁に背をつけて座って待った。
そのうち日が暮れて寒さを感じるようになった頃、コミュニティセンターに眠る場所を用意したと連絡が来た。
一人で向かいだした私に、私と同じくらいの娘さんとお母さんの二人連れが、一緒に行こうと声をかけてくれた。
明るい二人で、コンビニに寄って入用なものを買い、コミュニティセンターで用意してくれた布団を隣にしいて寝た。
朝になると、電車は動き出していた。
良い天気だったことを妙に覚えている。
たくさんお礼を言って、人と街の優しさに感謝しながら、私は家に帰った。
2011.3.11 東日本大地震