クッションに沈んでいく
一人暮らしを始めて数年経った。
最初の頃はそんなことはなかったはずなのに、今ではもう、見る用事もないのにつけてしまう。
テレビの話だ。
もともと、あまりテレビっ子ではなかったが、最近は人の声が恋しくてつけてしまう。
受験勉強をしていた頃と同じだ。
音楽をかけながら勉強していたが、天王山の夏を過ぎ秋を超え、そろそろ本番が近づいてきた冬頃にはラジオに変わっていた。
一人で長い時間勉強していると、人の声が恋しくなるのだと初めて知った。
寝るまでの時間、久しぶりに、なんとなく、テレビを消した。
雨で濡れた道路を走っていく車の音が、時折聞こえる。
こんなふうに過ごすのは、久しぶりだ。
昼間のままならない日常に消耗すると、逆に、一人の時間に沈むよりも、誰かの賑やかな声を聞いていたかったのかもしれない。