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ここから先の信号が一向に青にならない

あ、信号機だ、なんて思ったりした。
タルトの上に載っているフルーツが、それぞれ三原色を担って私を見上げた。

 

平日に休みをもらうと、普段カレンダー通りに働いている私にとっては、そこは全く知らない世界だ。
いつも行くお店が全く違うように見える。
いくらなじみのお店でも、そこでは私は異端児で部外者で不自然だ。

 

でもお昼を過ぎ、月が青い空に上りだし、辺りが真っ暗になると、もうそこは私がよく知る世界だ。
私は世界に溶け込んで、何食わぬ顔で青になった信号の下を通って家に帰る。