風邪をひいたので、珍しく家でおとなしくしていた。
何をするでもなかったが、意外とあっという間に時間が過ぎた。

大人になると、あっという間に時間が過ぎて、あっという間に一年が経って、あっという間に歳をとっていくという話題になる。

子供の頃は、学校が終われば近くの公園に集まって遊んでいた。
「帰りましょう」の夕焼けチャイムが鳴るまで遊んで、夕ご飯の支度の匂いがする家の間を帰った。
たくさん時間があった気がする。次のお正月が来るのが遅かった気がする。

今では、あっという間に一年が過ぎてしまって、去年の今日とまったく変わらない自分に愛想が尽きたりして。

大人になると、そんなに子供の頃よりやることが増えただろうか。
やりたいことも行きたいところもたくさんあるのに、ちっともできない。
ちょっと欲しいなと思ったものだけは、簡単に手に入れたりしてしまう。子供の頃はちっとも買えなかったのに。

そういえば、果たして子供の頃は、本当に欲しいものはあっただろうか。
大人になると、ぼんやりと本当に欲しいものが分かってくる。
分かってくるのに、手に入る気がしない。