実家の冷凍庫にはチョコとアイスが必ず入っている
カレンダーにわざわざ書き込まれているイベントに、世間から強要されているように感じてしまう。
そのイベントに、それこそ背中を押されて出来ることもあるだろう。
好きな人に告白。してみたらいい。
お世話になっている人に。感謝してみたらいい。
そんな状況に置かれていた時は、素直にそのイベントにかこつけて、と考えてしまうくらいには私もいい加減だけれど。
仕事場での力関係からやっと解放された安堵感にほっとするばかりだ。
義理だなんて、なんて味気ない。
仕事から帰ってきた父は、食卓に、会社でもらったというチョコを放る。
保険のセールスレディーが云々という品は、いつも受け狙いの類だった。
その横に、母が見繕ってきた箱がいくつか重なる。
そして、その半分以上は、母と私の胃の中に消えるのがお約束である。
贅沢なチョコでも父に買っていって、母と山分けしたいものだと思いながら、いつもストックしているチョコを冷蔵庫から取りだした。
バレンタイン