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私の中の大切な抽斗

朝、目が覚めた数瞬。
時分は誰で、ここはどこだ。
と思うことが、ままある。

 

それは大抵、月曜の朝だ。
ああ、私は私で、これからこの温かいベッドから這い出して仕事に行かなければいけ ないのだ、
と数分言い聞かせ、ずるずると這い出す。

 

あれは夢だったんじゃないかと思っている思い出が、一つある。
それぐらい、とてもとても幸福だった思い出で、いつの間にか、本当に夢だった のだと、
私の中の箪笥に仕舞われてしまった。

 

だから、まだ手放せず、頭の奥からすぐに引っぱり出せてしまう、あの幸福だった思 い出を、
私は、夢だったんだ、と早く仕舞ってしまいたいのに、それは抽斗の中には 入っても、
完全に箪笥の中に仕舞われてくれないのだ。