
優しいと自然は似ている
自分の口に入れるものが気になっている。
口に入れたもので体はできていくんだから、一瞬で消えるように見えても、いつまでも残るのは物じゃない、食べ物だ。
どこかの本で読んだ。
もともとジャンクフードの類は苦手で、母の影響で品質表示を見て買う性質が、それ以来だんだんと野菜の方に目が向いていった。
お世話になっているお店で有機野菜の販売をしており、試しに買ってみた。
そのアスパラガスは、ただ少しのバターでグリルしただけで、とても美味しくてびっくりした。
今まで私が食べていたアスパラガスは偽物だったと思うほどだった。や
簡単に農業をやれるとは思っていない。
その厳しさは、想像したとしても、失礼になるほどやわな想像でしかないだろう。
それでも、自分で自分が食べるものを作ることができたら、安心して美味しい野菜が食べられるとしたら。夢見てしまう。
彼女は、なぜ過酷だと分かっていながら彼と結婚する決心がついたのだろう。
喧嘩も絶えず、迷いもあったことが綴られている。
けれど、彼女が牛や馬に注ぐ視線は優しい、命の神秘を見つめる視線はきらきらとしている。
クリスティン・キンボール (訳 小梨直)
「食べることも愛することも、耕すことから始まる -脱ニューヨーカーのとんでもなく汚くて、ありえないほどに美味しい生活」
(2012、河出書房新社)