一年中、ハンドクリームを持ち歩いていた頃もあった。
触れる対象が自分の外にもいたからだ。
最近は冬になっても、寝る前に思い出したようにつけるくらいで、気付いた時には、水で手を洗おうしただけで飛び上がるほどだ。
お風呂も辛い。
女としてどうなんだ、と職場で机上にハンドクリームを置いている上司を見て毎日思う。
もちろん、一回り上の男の人だ。
それでも、食器洗いも手洗いの洗濯も変わらずやってくる。
ある意味、働いているのさ。
と、ぼろぼろの手を見て思う。
それいい匂いがする、と指差した顔は、たぶんずっと忘れないだろう。