きっと私と目が合うことを待っていた
私はこれまでに、いったい何冊の本を読んできただろうか。
その中で、いったい何冊の本のことを覚えているだろうか。
いったい、何冊の本が心に残っているだろうか。
この世には、いったい何冊の本があるのだろうか。
こんな途方もないことを言ったって詮無いことだけれど。
私は、そんな本の中からいったい何冊の本に出会えたのだろうか。
本は人との出会いによく似ている。
出会うべき時に出会い、手に取るべき時に手に取るのだ。
毎日毎日、その日にふさわしい本が必ずある。
知らない本のなんて多いことか。
そして、私が大好きな本が紹介されていることの、なんて嬉しく誇らしいことか。
辻山良雄 「365日のほん」
(2017、河出書房新社)