例えば、上を見上げれば裸の樹ばかりと思って下を見たら、びっくりするほど華やかな絨毯が広がっていたりする。
喜々として足を踏み出すと、硬いブーツの下でカサカサと音もする。
僅かな間しか会えない太陽の光をたくさん浴びて輝いている。
その間にこの絨毯を拾い上げて、自分の寝床に敷き詰めたら目に楽しいだろう。
穴の中でも、私が眠りにつくまでの間は、輝き続けてくれるだろう。
そうして、暖かくなったら目を覚まして、絨毯にお礼を言って、生まれ変わった世界におはようと言うのだ。
熊穴にこもる◆七十二候
熊が冬眠のために穴に隠れる