身が沈むようなソファじゃなくて、小さな椅子がいい。
一年の終わりだ。
久しぶりに会社の忘年会で呑んだら、てきめんに酔った。
少し前までは酔えなくてつまらないと思っていたのに。
久しぶりに笑った気がする。
後輩の彼のおめでたい話を聞いた。
自分と比べて、心の底ではやっかんで、ふざけたふりで呑むしかないと酒に手が伸びる。
でも、彼はきっと頑張ったのだ。
笑い話にしていたけれど、本当は頑張っていたに違いないのだ。
それと比べて、じゃあ私は頑張ったのだろうか。
そんな彼とは別に、後輩の彼が居なかった。
私が知らないうちに、彼は悩み切って、その席を去ることを決めていた。
悲しかった。
小さな椅子に座り込んで身を丸めて顔を埋めている彼が見えた気がした。
話を聞いてあげたいと思った。
でも本当は、私が話を聞いて欲しいのだろう。