
自分を探す理由
年上のお兄さんが、にこにこしながら、目の前で話しだした気がした。
大好きなものを持っている人に憧れてしまう。
子供の頃から大好きで大好きで、それを仕事にすることしか考えつかないくらいに好きで。
進学先に迷いがあるはずもなく、終わってみれば当然のようにその職に就いて、ずっと好きなことを突き詰めていく人。
本の向こうで語る彼は、まさにそんな人だ。
もちろん、平坦な道をまっすぐに進んでいたわけではない。
でこぼこの道を立ち止まったり進みだしたりしながら進んでいた。
それでも、見えている光は一つだったと思う。
好きなものを見つける、というのは簡単なことじゃないから憧れてしまう。
そうは言っても、追い続けることは簡単なことじゃないはずだ。
見失いそうになりながらも、星を追い続けることが出来る人だから憧れるのだ。
正しくは。
鳴沢真也 「ぼくが宇宙人を探す理由」
(2012、旬報社)