人が読んでいる本が気になる
本の相棒と言えば、栞と、ブックカバーだろうか。
ブックカバーは、文庫サイズを一つだけ持っている。
移動中に読むのはもっぱら文庫なので、カバーをかけるとしたら文庫サイズで大概事足りる。
読書の秋だからでもないだろうが、休みの日、電車の中で本を読んでいる人をよく見る。
人がまばらな電車の中で、ぽつりぽつりと座席に座っている若者や年配の方が、思い思いのブックカバーをかけた文庫本を読んでいる晴れた休日の昼下がりの景色に遭遇すると、意味もなく幸福に包まれてしまう。
自分もその景色の一部になろうと鞄から文庫本を取りだす。
鞄には本が入っていないと落ち着かない。
今日は何を持って行こうかと朝選んで家を出る。
そんなブックカバーを、最近、新調した。
知り合いの作家さんの手作りの革のブックカバー。とにかく手触りがいい。
こんな話をしておいて、実は、本のジャケットを外して裸の状態で新潮文庫なんか読んでいる男の子を電車で見つけるときゅんとしてしまったりする。