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雨に濡れた緑深き洋館から聞こえる歓談に誘われる

読書の秋というぐらいだから、10月は本イベントが多い。
今日も色々なところで一箱古本市が開催されている。

 

けれど、残念ながら週末に二週連続で台風が当たってしまった。
にもかかわらず、本好きは足元を濡らしながら、あっちこっちとイベントを飛び回っている。
肩からかけた鞄につまった本は、けっして濡らすまいと抱えて。

 

みかも一箱古本市は、築90年を超えた木造洋風建築の家で定期定期に開催される一箱古本市だ。

 

この一箱古本市は、不思議な場所だと思う。
狭い空間なので店主さん同士が近く、気づくと店主さん同士で話が盛り上がる。

 

ぺたんとカーペット地の床に座り、見上げると大きな窓の外から緑深い庭の枝木がのぞく。
天気の良い日もいいけれど、雨でしっとりとした庭も風情がある。
手作りのカレーでもてなされ、ひとたび腰を落ち着けるとおばあちゃんの家にでも帰ってきたようにリラックスしてしまう。

 

決して客足は多くない。
けれど、この雰囲気が好きな店主さんは、みかもでのんびりと本に囲まれて過ごすことを楽しみにやってくる。
本を売りにではなく、本を通して誰かに会いにやってくる、そんな場所な気がする。

 

木の看板を目印に緑深い入り口を入り、アプローチを抜けて、いつも開いている玄関から「こんにちは」と声をかける。
そうすると、誰かが出迎えに出てきてくれるのを嬉しく感じながら、今日もこの灯りのともる家に入って行く。

 

 

みかも一箱古本市
自由が丘 読書空間みかも