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さらわれてゆく秋

マンションの扉を開けたら、足元にたくさんの葉っぱが散らばっていた。
台風一過。ついこの前も、こんなことがあった。

 

一週間ぶりの青空だ。
傘を持たずに出かけるのも久しぶりだ。
水たまりに気をつけずに歩くのも久しぶりだ。

 

上を向いて歩くのも久しぶりだ。

 

嬉しいけれど。
仕事中の気分転換によく行っていた外の脇道に向かって、落胆の息が漏れた。

 

昨夜の台風の強い風で、金木犀の樹は緑色になってしまっていた。
すぐ下に落ちているはずの橙色の花たちも、風にさらわれて、そこにはいない。