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足元を見ながら歩いていたらそこに小さな黄色い花を見つけるような

たぶん、一年ぐらいずっと私は部屋を掃除したいと思っている。
なんとなく、ものであふれている。
それは、ものを大切にできていないってことだ。

 

そしてそれは、自分の暮らしを大切にできていないとも言える。
ここに置いてあると邪魔だなとか不便だなと思いながら生活しているのだから。

 

いらないものを捨ててしまいたい。
いつだってすぐに引っ越しができるくらいに身軽でいたい。
ずっとそう思っているのに、私は部屋にほとんど留まらずに外に出てしまう。

 

作者は、部屋のガラクタを大処分して、びっくりするような体験をしたという。
部屋は心の鏡だけでなく、体とも繋がっているんだって。
心が入っているのは体だから不思議じゃない。そして、私が入っているこの部屋。

 

たぶん、いらないものを処分してお気に入りのものだけの部屋にしたら、何かが変わるような気がする。
いや、本当に捨てなきゃいけないものは、ものではなく、この執着だとも思いながら。

 

 

すぐに取り出せるところに、お守りのように置いておくことにしよう。
なんとなく窮屈を感じた時に、手に取れるように。

 

 

服部みれい 「なにかいいこと 自分をほどく知恵のことば」
(イースト・プレス 2011)