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雨音と笑い声と本をめくる音

一箱古本市というものは、スタッフと出店者さんとお客さんの全員で作り上げるものなんだな。
そう、改めて思う。

 

一週間も続く連日の雨、その最後の仕上げとばかりに台風が迫る今日、ファンも多い古本市が開催された。
戸越八幡神社一箱古本市のきっかけともなった、縁側一箱古本市だ。

 

週間天気予報を見るたび、雨一色。屋内開催の一箱とはいえ、台風直撃の予報を見れば不安が募る。
当日、分かってはいたけれども、朝起きて開けたカーテンの外は雨だった。
客足の伸びを心配しながら鷺ノ宮に向かう。今日は、カフェ出店さんのお手伝いとして参加するのだ。

 

主催者さんと、今日はこんな天気だからお客さん少ないと思うし、と不安を胸に小さくしまって元気に準備を始めた。
続々集まる出店者さんは、雨でびしょびしょになりながらも、けれどこの古本市を寄り合いと楽しそうに言い合って、いそいそと準備を始めている。

 

そして、いざ始まってみれば。
なんだ。人出が絶えない。賑やかだ。みんな楽しそうだ。なんの心配も必要なかった。
心ばかりの紅茶とチョコを配りながら、ほっとする。

 

これも全ては、主催者さんの人徳のなせるわざだ。
一箱古本市が大好きで、各地に出店し、自分でも企画して、いつも楽しそうに一生懸命な彼女。誰だって応援したくなる。
彼女の作りだす一箱古本市が大好きで、まさに晴耕雨読じゃないかと盛り上げる店主さん、そして精一杯それを受け取って楽しんでくれるお客さん。

 

お茶を配りながら、大きくなる雨音に負けない明るい声が「ここかな」と言いながらこちらに近づいてくるのを聞く。
それを聞きつけて、迎えるために玄関に向かう彼女の背中を追う。

 

 

第3回縁側一箱古本市
2017年10月22日(日) 於co-minka若宮荘