
第二回戸越八幡神社一箱古本市のこと③
神社の境内は、終始、人でにぎやかだった。びっくりするくらい、人出が絶えなかった。
気持ちのいい木漏れ日の中、ただただ、いろいろな人が入り混じっていたと思う。
一箱古本市目当てで、店主さんとおしゃべりしながら一箱を覗く人。
珈琲とお汁粉を片手に、知り合いを見つけて手を振る人。
豆本目当にいらっしゃたのだろう、上品なおばさま。
毎週、お米やのサテライト古本市に寄ってくれたご近所のおじさん。
散歩途中、焼きそばのにおいに近づいていく若い親子連れ。
着物姿のお宮参りの一家。神社の御朱印を待つ方。
本当にびっくりして。
嬉しかった。全ての準備が報われた空間になっていた。
実行委員の彼女は何度も泣きそうになったと言っていた。
お米やも、おにぎりが完売した。
彼女に会いにきてくれた人が最後のお客さんで、それは彼女への餞別となった。
きっと大丈夫だと思いながら、本当は不安で仕方なかった。だから、ほっとした。
朝からずっと幸せだ。なんて。恥ずかしい言葉が自然に零れた。
第二回戸越八幡神社一箱古本市に向けた準備のキックオフは、4月だった。
他で開催されている一箱古本市にお邪魔したのだ。
そこから月に一、二回のペースで打ち合わせた。
9月になってからは、毎週、お米やでサテライト古本市を開催し、準備や告知に励んだ。
毎日、深夜に仕事から帰るような生活を送りながら、彼女は笑顔で、準備に余念がなかった。
そして、閉幕の時間はあっという間に訪れた。
まだまだ、ここにいたいなぁと思った。