いつかできる自分
一人暮らしを始めた頃は、わくわくして仕方なかった。
新しい部屋を作れるのだ。
実家の部屋は、まだ小さかった頃からの持ち物も多かったから、思い通りにできないものもあったけれど、いちから作れるのだ。
ここ数年のうちに、自分はどんどんどんどんシンプルなものが好きになっている。
服が顕著だ。無地でスタンダードなものしか欲しくなくなった。
もちろん、部屋作りもそうだった。暮らしもだ。
でも、おかしい。部屋も暮らしも乱れがちだ。
部屋が荒むのと心が荒むのは、どちらが先なんだろう。
というのが、自分の長年の議題。
そんなことを、夜、歯を磨きながら部屋を見渡して思う。
だから、自分は何度でも理想の本を読み返す。
いつか、それができる自分になっていたら、きっと自分を大切にできている。
渡辺有子 「すっきり、ていねいに暮らすこと」
(PHP研究所、2014)