いつもおんなじものを買っていくあの子
実家は田んぼや畑の中の浮島のような住宅街の中にあり、メインストリートには商店街があった。
今ではほぼ閉まってしまったが、子供の頃は母についていって、野菜は八百屋で、肉は肉屋で、魚は魚屋で買っていた。
駄菓子屋でいつも友達と集まって、遠足のおやつはもちろんそこで買っていた。
その駄菓子屋は今でもやっている。
今ではもう、私の実家のあたりは大きなショッピングモールが普段の買い物の場だ。
一人暮らしを始めるにあたり、ここに住もうと決めた理由は商店街に惹かれたところが大きい。
今思えば、子供の頃の商店街の記憶があったのかもしれない。
そうは言っても、チェーン店で全て買うことが当然になりすぎていて、なかなか商店街を活用できていなかったのだが、やっと個人店で買う楽しみを覚えて、最近はお米はここ、肉はここでと決めたりしている。
たぶんもう顔を覚えられていて、またササミとカレーコロッケ買ってるなと思われてるんだろうな。
お米やでたった数回店先に立っただけで、おしゃべり好きのおじさんが、また来週と言って家路に向かうのを見送った。