高いところに来た。
父の実家に帰省するたびに、車中から目印になる山がある。
私自身は山無し県生まれなので、山が日常生活からは遠いが、やはり子供の頃から毎日山を見ていたら、やっぱり、山を見ると「帰って来たな」と思うんだろうか。
故郷の山が見えて来ると、家族を乗せた車のハンドルを握りながら、その山の名を呼ぶ父の声は、そういえば少し弾んでいるような気がした。
その山に私は初めて登った。
家族とではないけれど、山の上から見える景色は、ちょっと私の地元の景色とも似ている。
黄金色の田んぼは、私の故郷の景色でもある。